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選挙権取得年齢の引き下げに関する議論から思うこと

フィンランドでは18歳以上のすべての国民に選挙権が与えられています。現在、これを16歳に引き下げることが検討されています。早くから選挙権を与えることで、若い人に政治に関心を持ってもらおうということのようです。背景には、少子高齢化により若い有権者の数が相対的に減り、若年層の意見が政治に反映されにくくなっていることがあります。以前から取り上げているフィンランドの高校の社会科の教科書でも、民主主義の問題点として、「すべての国民が積極的に政治に参加するわけではないため、意思決定が一部の政治参加意欲の高い人にとって有利なように偏ってしまう」ことが指摘されており、若年層の積極的な政治参加を呼びかけています。

ただ、選挙権が与えられる年齢の16歳への引き下げを、当の高校生はさほど歓迎していないようです。オウルの新聞 Kaleva (10月16日) に「オウル・リュセオ (高校の名前) で行われた選挙に関するパネルディスカッションで、選挙権の年齢引き下げはあまり支持されなかった」という記事が掲載されています。高校生の多くは、政治に関心がなく、自分が政治的意思決定に影響を与えられるという実感がないそうです。過去のブログ記事で、日本と比べてフィンランドでは民主主義教育が進んでいると書きましたが、一般に若年層の政治への関心が薄いというのはフィンランドでも変わらないようです。

それでも、ここで注目したいのは、選挙権取得年齢の引き下げを主張しているのは誰かということです。つまりここでは、現在選挙権が与えられていない当の16歳から18歳の人たち自身が自分たちに選挙権を与えるように主張しているのではなく、当人からそのような主張がされなくても、政策立案者の側から選挙権を与えることを提起しています。民主主義の実現には、フランス革命がそうであったように、民衆の側から民主主義の意識に目覚め、権利を主張するようにならなければならないと言う人がいます。そうした主張をする人からしてみれば、民主主義を学校で教えてもらったり、選挙権を与えてもらったりするのは、甘えだと映るのかもしれません。当人から言ってこないものは放っておけばよいと考えるのかもしれません。ただ、フィンランドの影響を受けた私は、民主主義が社会を運営するための現在考えられるベストの方法なのならば、当人から言ってこようがこまいが、教育や選挙権の提供などを通じて、民主主義を発達させればよいと考えています。

当人から権利を主張できるようになるには、時間と労力がかかります。日本でも、社会の問題が本当に深刻化して、多くの人が生活できないという状況にでもなれば、革命が起きるかもしれませんが、そうなってからでは遅すぎます。また、ストレートにものを言いにくい社会で意見を言うのは、勇気が必要ですし、風当りも強いので、疲れます。「苦労して意見を言えるようになるからこそ意味があるんだ」と言うマッチョな人もいるかもしれませんが、私は、無駄な時間や労力はかからない方が良いと思います。

若年層に政治に関心を持ってもらおうと働きかけるフィンランドと、意見をストレートに言うことが好まれない日本とが、対照的に映ります。

【References】
FORUM 1 Uusi Yhteiskuntatieto (2011, Otava)
Kaleva 2012.10.16 ”Oulun lyseon vaalipaneelissa ei lammetty aanestysikarajan alentamiselle”
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