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「消費活動ができない」ことのつらさ

「日本では北欧が美化されすぎている」と言われることがあります。たしかに、北欧について書かれたものを読んでいると、良い面だけが、おとぎ話のように取り上げられていると感じることがあります。「国民の幸福度が高い」、「学費が無料」、「育児がしやすい」などなど。このブログでは、基本的にはフィンランドの良い (と私が感じる) ところを紹介するつもりなのですが、安易な北欧礼賛に与するつもりもなく、悪い面も含め、物事をさまざまな側面から考えていきたいと思っています。そこで、今回の記事では、私がフィンランド留学中につらかったことを題材にしたいと思います。それは「消費活動ができない」ことです。

留学に行って最初に驚いたのは、多くのスーパーマーケットが日曜や祝日は休みだということでした (注: 現在は規制が緩和され、日曜でも開店しているスーパーマーケットが多いようです)。週末は、デパートや喫茶店なども日中の限られた時間しか開いておらず、町全体がお休みモードに入ります。日本では、お店にとっては週末が稼ぎ時ですから、いつも以上に大きな声を出して集客にはげみます。私も留学前は週末にはとりあえず町に出て、ウィンドウショッピングをしたり、喫茶店で本を読んだりするのが習慣になっていました。そのため、留学当初は、週末に何をしたらよいのか分からずに戸惑いました。

週末に店があまり開いていないということは、冬になるとより深刻につらく感じられるようになりました。北欧の冬は「寒くて暗い」ことで有名です。私が留学していたフィンランド北部のオウルは、冬は氷点下30くらいまで下がり、日照時間も5時間程度 (朝10時ころにぼんやり明るくなり、昼3時くらいには暗くなる) になります。こうなると、あまり外出もできず、家に閉じ込められているような気持ちになります。そんなときに、例えば、どこかの喫茶店にでも行って読書したり、あてもなくショッピングセンターをうろうろして気分転換できたら、どんなに楽だっただろうと思います。ちょっとした外出の目的地としての店というものがあると、特に何かを買うというわけではなくても、生活に選択肢が与えられます。店が閉まっていることの多いオウルでの暮らしを経験して、自分が知らず知らずのうちにたくさんの店に囲まれた日本での生活に依存していたことに気付かされました。

学費や託児サービスが無料だというのは、国が税金から支出しているということです。フィンランドは国内では、民間の競争よりも、国が提供するサービスが主体となって機能しています。サービス業の人が、休日を家族と一緒に過ごせないということにならないように、週末などの営業時間を制限しています。人の生活を何よりも大事にする優れた制度だと思います。ただ、頭ではそう理解できても、日本の都市部で生まれ育った私は、消費活動というものが体に染み込んでいたようです。特に、初めての異国での冬を迎えたとき、「お金を払えば行ける」とか「お金を払えば居られる」というのが、どれほど楽なことだったのかを痛感しました。

帰国後、東京で就職が決まった私は、フィンランドでできなかった分を取り戻そうとするかのように、馬鹿みたいに頻繁に喫茶店に行きました。特に何も買わなくても、いろいろな店をのぞいたりもしました。東京での消費生活は楽しかったです。

ただ、平日は仕事をして「売り」、週末は店に行き「買う」という、常に市場に振り回される今の生活には正直言って疲れているというのも、また事実です。簡素な暮らしに満足し、売ることや買うことから離れて、自然の中で静かに過ごす時間を大事にする…、そんなフィンランドが恋しくてたまりません。日本とフィンランドを経験した私は、「消費社会」についてアンビバレントな (どっちつかずの) 思いを抱いています。
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